機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いているにもかかわらず、内視鏡検査などを行っても、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんなどのような異常がみつからない病気です。生命にかかわる病気ではありませんが、つらい症状により、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまう病気です。

主な症状は「つらいと感じる食後のもたれ感」「早期飽満感」「みぞおちの痛み」「心窩部灼熱感」の4つです。日本人の4人に1人は機能性ディスペプシアを持っているという調査結果もあり、決して珍しい病気ではなく、誰もが罹患する可能性のある病気です。

治療は基本的に薬物療法となり胃酸を抑える薬や胃の働きを活発にする薬を処方されます。

いまや国民の10%が機能性ディスペプシアといわれています。

便秘で悩む人が14%なので、その多さがお分かりいただけるかと思います。

しかし,病名を知る人も少なく、情報も十分とはいえません。

このぺージでは機能性ディスペプシアの症状や原因、治療法をご案内いたします。

機能性ディスペプシアの症状

機能性ディスペプシアは4つの症状が特徴的です。

次のうちどれか1つが3ヶ月以上続くと機能性ディスペプシアと診断されます。

①食後膨満感・・食べた後にお腹が張る、それが苦しい

②早期膨満感・・すぐにお腹がいっぱいになってしまうため、あまり食べられない

③心窩部痛・・みぞおちのあたりが痛む

④心窩部灼熱感・・症状がひどくなると、みぞおちのあたりが焼けるような感じがする

日本ではこれらの情報をもとに医師が診断しますので、

3ヶ月以上悩まされていなくても、機能性ディスペプシアと診断される場合がございます。

なぜ機能性ディスペプシアは起きてしまうのか?

機能性ディスペプシアを引き起こす原因はいまだにはっきりと解明されておらずストレスによるものや、ウイルスによるもの、体力が低下していることにより発症することと考えられていますが、遺伝によるものや体質的なものも否めない感はあります。

胃や十二指腸の動きが悪い

空腹なときにお腹がなるという経験があると思いますが、

これは90分に1回のペースで胃腸が大きく動いて、中の掃除をする、食べ物を送りだすときに出る音です。

機能性ディスペプシアの方はこの動きが少ないようです。

実際にお腹が鳴らない人が多いです。

食べ物がなかなか胃や十二指腸から腸に送り出せず長く停滞することで、その結果胃もたれや気持ちが悪くなってしまいます。

自律神経の問題

自律神経のバランスが乱れると、胃腸の動きやほかの内臓機能にも影響を及ぼすことが知られています。

感染性胃腸炎

胃腸風邪のことです。

胃腸風邪を引いた人は、そうでない人より6ヶ月後に2.5倍も機能性ディスペプシアになりやすいということが分かっています。

機能性ディスペプシアの患者さん特有の張り

機能性ディスペプシアの患者さんが一般の病院にかかると、胃酸を抑える薬と胃の運動機能を改善する薬の処方が第一選択肢になります。

一般的に病院での治療法は、対症療法といってその場しのぎの治療に過ぎません。

また多くの整体院などでは機能性ディスペプシアの治療法と銘打って、全身調整などが行われることがよくあるそうです。決して全身調整が悪いわけではありませんが、胃の働きに効果を集中させることはできません。全身に及ぶ作用の一部が胃の働きにも及んでいるだけです。

上腹部と背中の張り

さらに、機能性ディスペプシアの人に共通しているのは「みぞおち周辺とその裏の背中」が張っていることです。胃の周囲を取り囲むお腹と背中の筋肉が過緊張すると、胃を圧迫させるのでその結果、胃の働きを悪くし異常をきたします。

ピンポイントな効果とリラックス効果

上記に挙げたように機能性ディスペプシアの患者さんの多くに特有のお腹と背中の張りを確認することができます。機能性ディスペプシアの治療においてその張りを解消することは欠かせません。

当院では、お腹や背中の張りを解消させるときに、主に手足にあるツボに鍼を入れていきます。直接お腹に鍼を打つことはしないので、恐怖心も少なく施術を受けることができます。

やさしい鍼刺激は,リラックス効果が期待でき自律神経が安定的に働くことへの効果があることも知られています。

多くの機能性ディスペプシアにおいて鍼治療は効果的に働きます。他の治療では得ることができないピンポイントな筋緊張の緩和、リラックス効果、血流改善効果が期待できます。